西村繁男の世界展〜神奈川近代文学館へ
- 2016/09/01
- 19:00
絵本のことが、すっかりご無沙汰になってしまった。
今日から、はや9月。
8月に行った「西村繁男の世界展」のことを書いておこう。
まだ、9月25日(日)まで開催しているので、これからでも観に行けますよ。
9月3日(土)には西村さん、19日(月・祝)には内田麟太郎さんの講演もある。
→ 神奈川近代文学館HP

横浜に住んでいるというのに、神奈川近代文学館に行くのは始めて。
こんな素敵なところがあるなんて…
山下公園のほうからフランス橋を通って、フランス山の少しひんやりとした樹々の間を歩き、港の見える丘公園で今や海が見えない程に建物や道路がひしめく港に目をやり、イギリス館、大佛次郎記念館から霧笛箸を渡ると…さりげなく佇む文学館の建物があらわれる。
今回入った展示館のほかに、本館があり図書や資料の閲覧が出来るそうだ。
展示館にはホールや会議室もあり、文学館の催しが行われたり、会場の貸出しもしている。
展示館の展示室には「神奈川の風光と文学」「文学の森へ」という二つの常設展がある。
色あせた資料の並ぶ地味な雰囲気と裏はらに、芥川龍之介、志賀直哉…あげれば切りがないほどの文豪の直筆原稿等を目の当たりにして心がエキサイトする空間。
さて。
絵本作家・西村繁男の世界展〜やこうれっしゃで出発!〜
入口でクイズの用紙をもらったので、よりじっくり展示が見れたかな。

*クイズに答えると、最後にポストカードがもらえます!オリジナル缶バッチのガチャガチャもあり。
最初の質問は…やこうれっしゃが終点の駅に到着したのは朝の何時ごろですか?
あらためて駅に描かれた時計を探して針の位置を確認したり。そうだ、到着する時間は、こんな時間だった…と自分の子どもの頃の夜行列車体験と重ね合わせたりした。小学生時代…横浜、福岡、青森、横浜と、日本列島縦断、よく引越したなあ。
展示は、西村さんの絵本、一冊一冊が丁寧に披露されていて、まだ手にしたことがなかった絵本についても十分に楽しむことができた。そして、読みたい気持ちがむくむく湧いてくる感じ…。
西村さんの絵本作りのプロセスがわかる…絵巻物のように絵がつらなるラフスケッチがあったり、細かく色指定が書き込まれたスケッチがあったり…。ひとつの絵本が出来上がるまでにかけられているエネルギーに感服しながら、そのプロセスにもあらわれている、絵本を作り上げていくワクワク感のようなものが伝わってきて、自然に気持ちが愉快に、生き生きとしてくる。
出版された順番に展示は進行。私が、毎晩子どもたちに絵本を読んでいた時代が終わるあたりで、知っている絵本はほぼ終わっていた。そのあとも、沢山の楽しい絵本を出されていたのだな〜と感慨深い。
今も、何度読んでもあきない文字のない絵本『やこうれっしゃ』、本当に力作だと思う『絵で読む広島の原爆』が手元に残っている。図書館で借りた『おふろやさん』も好きだったなあ、と思い出す。内村麟太郎さんが文を書かれた『がたこごがたごと』あたりまで覚えていた。
西村さんの絵本には、大事に々に描かれた、ひとりひとり、ひとつひとつ、そして、すべてがある。さりげない日常の中で生み出され、営まれてきた、かけがえのない、生命、自然、社会、文化…が、精密な描写と豊かな想像力で表現されている。
西村さんは高知の生まれで、現在は神奈川県の相模原在住とのこと。
今回、展示を観て、また、それをきっかけにいろいろと調べているうちに、西村繁男さんの作家活動、生き様、著作に魅力を感じて、もっと知りたい、読みたい…そんな気持ちになっている。3日の講演に行きたい…。叶うか。

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