やはり冬の季節の絵本を開きたくなる『雪の写真家ベントレー』
- 2016/12/24
- 08:00
一昨日の嵐は、台風のようでもあり、春一番のようでもあり、いったいどうしたことだろう。
これから、冷え込むとも言われているが。
季節がおかしい。
おかしい、と感じるほどに、やはり、季節を意識して生きているのだなあ、とも思う。
11月に、この横浜でも雪が降った。
季節というよりも、その時々に、冬が来たり、春が来たり、夏が来たりしている。
さて、
それでも、季節の絵本を開きたくなる。
『 雪の写真家ベントレー 』
J・B・マーティン作 M・アゼアリアン絵 千葉茂樹訳
1999年 BL出版発行
アメリカの豪雪地帯にある小さな農村に生まれたウィリ-・ベントレーの伝記絵本。
ベントレーは、子どもの頃から雪の結晶の美しさに魅せられ、その美しさを多くの人達に伝えたいと、雪の研究と結晶の写真撮影に生涯をかけた。
ひたむきに雪を追い続けるベントレーと共に、それを応援して、見守る家族の姿も印象的。
好きなこと、素敵だと思うものを追い続けること。
深め続けること。
その姿に圧倒される。
そこにある。
果てしないほどの探究心、興味。
地道な努力。
そして
自分のみつけた素敵なものを、他者に分かち合うために、
さらなる大きな努力と、
愛が必要なことも教えてくれている。
彼が、雪の結晶を写真に撮り、本にして多くの人たちに見てもらうまでには大変な苦労があった。
私たちが、何かを誰かと分かち合うとき、彼ほどの労苦ではないにしても。
そこには温かく力強いエネルギーがいる。
誰かに伝えたい、共感を得たい、喜びを分かち合いたい。
そういう気持ちを愛が支えていく。
何か、素敵なものを発見しても、自分の独り占めにしてしまうのでは淋しい。
そもそも、見返りばかりに心を向けるのは、分かち合いとは異なる。
自分の喜びや感動は、誰かと分かち合ったとき。
さらなる恵みとして、幸せの実感として、自分に戻ってくる。
私も、今は、そんなふうに感じている。
ところで
雪の結晶。
私が、それを美しい!と発見したのは、小学校4年生の2月~5年生の終わりまで暮らした青森でのこと。
ベントレーみたいに、手袋に落ちる雪を、ひたすら眺めていた記憶がある。
顕微鏡でも、見た。
私は、小学校の三年生ごろには、小さな顕微鏡を買ってもらっていた。
たしか、あの当時、私は科学者になる、と言っていた。
小学校の理科の時間に見た、顕微鏡の世界の美しさ、不思議さに魅せられていた。
ビーカーや試験管を使ったりする実験も、楽しかった。
科学者気取りで、顕微鏡で、あれこれとよく眺めていた。
顕微鏡で見たものを描くのが好きだった。
本や図鑑を見て、ノートに小さな微生物達の姿を細かく書き写すのも好きだった。
雪の結晶は、本当に、いろいろな形をしていて、美しかった。
人恋しくありながらも、現実の人間関係より、自然、動物などの世界、理科の実験の時間に入り込んでいるときが。
楽しく穏やかな気持ちで居られた頃。
もちろん、本の世界も…。
雪の結晶の美しさとはかなさは、小さな私の心に静かに寄り添ってくれていた。
ストーリーも絵も、ベントレーの熱い思いやぬくもりのある家族関係などが感じられ、冷たい雪とはうらはらに、とても心温まる絵本。
『雪の写真家ベントレー』
ブリッグズ マーティン ジャクリーン (著) メアリー アゼアリアン (イラスト)
千葉 茂樹 (翻訳)
2000/1 BL出版 発行
メリークリスマス!
雪の結晶の本は、表紙を眺めているだけでも幸せ気分。
もちろんページもめくってみたい。
*雪の結晶の本*

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