自信、勇気、よりそうこと、楽しくて深い絵本「ラチとらいおん」
- 2016/02/12
- 23:30
ラチとらいおん (世界傑作絵本シリーズ―ハンガリーの絵本)
『ラチとらいおん』
マレーク・ベロニカ ぶん・え / とくながやすもと やく
福音館書店
弱虫な男の子ラチと、ちいさな赤いらいおんの物語。
らいおんが、ラチに寄りそいながら、ラチに自信を与えていく様子が、ほほ笑ましく、楽しく描かれている。
自分は、弱虫で、ひとりぼっちだ、と思っていた、ラチ。
だれもが…、大人も、そんな気分になるときって、あるんじゃないかな。
そして、さみしい、って思いながら、仕方ないって、あきらめたり。
ひとりで頑張るしかないんだ、って思ったり。
でも、やっぱり、さみしいのは辛いし、ひとりで頑張るのは大変。
そんなとき、だれかが、一緒に、頑張ってみよう!と寄りそってくれたら、とっても嬉しい。
もちろん、最初から、そのだれかを信じられなかったり、恥ずかしかったりもするけど。
一緒に居てもらうだけで、心強く感じたり。
今まで、できなかったこともやってみようと勇気が湧いてくる。
そして、いつのまにか、そのだれか…が居なくても、ひとりでできるようになったり。
自信…、っていうのかな、大丈夫だって思える “ 気持ち ” が、そのだれかの代わりに、自分のこころの中に居てくれるようになる。
育む、育てる こと、って、こういうことなんだろうな、と思う。
しかし、寄りそい方はむずかしい、ずっと手取り足取りではうまくいかないし、ほどよく手を放していく感覚。
助ける人、助けられる人…みたいな一方通行の関係ではなく、お互いに尊重し合うことも大切。
大人たちは、小さならいおんに学ばなければいけないことが沢山ありそうだ。
そして、いろいろなことがある日々の中で、自信を失いそうになったら、不安でいっぱいになったら。
そうだ、らいおんにもらった勇気が心の中にあるよ、と思い出そう。
いまは、そばに居ないけど、きっと、見守ってくれている、と思いを馳せよう。
それでも、困ったときは、また、らいおんを呼ぼう!
今度は、赤いらいおんじゃなくて、何色のらいおんかな。
深いテーマ。
でも、端から端まで、ユーモアたっぷりな画と文が、心を温めながら大事なことを伝えてくれる。
わたしの大好きな絵本。
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