fc2ブログ

記事一覧

美しい色が織りなす歌のような絵本『おふろばを そらいろに ぬりたいな』





おふろばをそらいろにぬりたいな (岩波の子どもの本)


『おふろばを そらいろに ぬりたいな』
ルース・クラウス文 モーリス・センダック
岩波書店 1979年9月 岩波の子どもの本



前に紹介した『わたしはとべる』のルース・クラウスが文章を書いている。
絵はセンダック
訳は大岡信

なんと贅沢な面々が揃ったことかと、つい俗っぽい見方をしてしまう。
たしかに、凄い仕上がり。


ためいきがでる…色の美しさ。

ストーリーの自由さ。

言葉の音・リズム。



タイトルから想像されるストーリーを遥かにこえて展開する物語はユートピアに至る

美しい色が織りなす物語は歌のようにリズミカルに音色を、想像の世界へ、未来へ響かせる。



子どもって、おふろばから…どこへでも、どんな世界にも自由に行くことができる。



ぼくが つくる うちは
ゆめに でてくる おうちさ。
いつも みている うちとは べつなんだよ。
にじ みたいな おうち。
ともだち みんなが ぼくと いっしょに
そこで すむんだ。




にじみたいなおうち。

ともだちの顔の色は、いろとりどり。

虹色。




絵を描いたセンダックは亡くなる数年前にゲイであることを公表したという。

この本の原書が出版されたのは1956年。

まだ今のようなLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)や多様性を象徴するレインボーフラッグは登場していない頃だろう。

でも虹色の表現にレインボーフラッグと重なるメッセージも感じる。



いろんな人がいて、いろんな人と生きるのは、たのしい!

いろいろな人が、大事にされる、安心して暮らせる家(社会)を希求する気持ちが伝わってくる感じ。



わたしは、いろいろ…を感じると、多様性を感じるとすごくほっとする。

同じであることを求められて生きるのはきゅうくつ。


自然の色は、限りなくあり、空も海も、葉の色も、一色で描くことはできない。

そんな空や海や葉を見てほっとする。




歌うようにして、案内されるユートピア…



この絵本は、子どもたち。

そして、おとなたちへの。

自由な世界に向かうための道案内にもなりそうだ。




関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

「みどり」に繋がることをテーマに。

本は、古本、新刊本、バーゲンブック(BB)を取り扱っています。 ●絵本 、小説、詩集。自然、社会。暮らし、手仕事、アート。こころ、からだ。 ●多様性、当事者性を尊重する視点で選書。●季節の移ろいを感じられる本屋に。

検索フォーム

私が読んだアロマセラピーの本

『アロマテラピーの教科書―いちばん詳しくて、わかりやすい!』和田文緒著
著者の和田文緒さんは農大で学んだ植物の専門家。植物の美しい写真が豊富。基礎から応用まで、しっかりした知識と活用法が学べて、末永く活用できる。科学者視点と豊かな感性がコラボして綴られた個々の精油の香りや作用の解説は、他の類似本にはない魅力。


『はじめての中医アロマセラピー』
『中医アロマセラピー家庭の医学書-大切な人を守るための30トリートメント』
アロマ&中医学の基礎知識を学び、さらに関連づけて活用へ。陰陽、五行、経絡、ツボ…。中医学の世界も深い。繰り返しページをめくりながら少しずつ理解・会得していく感じの本です。有藤文香著。

プロフィール

youko itou

Author:youko itou
人生、山あり、谷あり、迷い道あり…いろんな自分を生きてきました。アロマや絵本は、そんな私のよき道づれです。楽しいこと、好きなことを大事に。自分の経験をもとに、出来ることをして。心と身体の手あて。アロマ、ハーブ、コラージュ等と個別相談。「みどりのほんや」webshop。Bookshop Traveller 出店中。(アロマの手あて教室、みどりのほんや 主宰)

*☆* つぶやいてます *☆*

*☆* つぶやき特集 *☆*

いろいろな雑誌

「ビッグイシュー」を知っていますか?中身も濃くて、写真やイラストも素敵!ホームレスの仕事をつくり自立を応援する雑誌。駅の近くとか、雑誌を手に掲げて販売している姿を見かけたら是非一冊!最新号はもちろんバックナンバーを見せてもらって選んで買うのも楽しいですよ。
https://bigissue.or.jp/

メールフォーム

『アロマの手あて教室』お申込みはこちらからどうぞ。

お名前:
メールアドレス:
件名:
本文: