子どもたちのまなざしで描かれた絵本『まほうのえのぐ』
- 2016/03/05
- 08:00
まほうのえのぐ (こどものとも傑作集)
『 まほうのえのぐ 』
林明子 さく
福音館書店 1993年(こどものとも発行) 1997年8月(こどものとも傑作集発行)
ソ連の絵本展に行ってからしばらく余韻に浸っていた。
そんな中でふと目について引っぱり出してきたのが林明子さんの『まほうのえのぐ』。
ふふ、この絵本も動物たちが出てくる。
ソ連の絵本みたいに。
樹々、草花、小さな生きものたち…の姿がページのここかしこに見える。

『こんとあき』などでおなじみの林明子さんの絵本。
彼女の絵本のまなざしは、いつも 子どものまなざし 。
子どもに見えるものが、子どもが見たように描かれているような気がする。
子もどたちは、こころで見る力を持っていて、様々なものに生命の息吹を与え、戯れることが出来る。
林明子さんは『まほうのえのぐ』で子どもが見えるものを描いているのかもしれない。
よしみとおにいちゃんの表情もいい。
興味津々だったり、得意げだったり、楽しくてしょうがなかったり…。
思わず、微笑みかえしたくなる。
不安げだったり、焦ったりする表情も、安心して気持ちをあらわしている様子が伺えて。
大丈夫だねと、見守る心持ちになる。
こころが平和になる絵本。
子どもたちも、主人公に気持ちを重ね合わせながら楽しみ、こころの穏やかさを得るだろう。
平和な気持ちをもらいながら、今、子どもたちのこころは何を見ているだろうか、とも思った。
そこに、先におとなになった者の責任、を感じつつ。
絵本に描かれる様々なユートピアは、同時に、現実の世界へ視線を向けさせてくれる。
現実の中にある、大切にしたいもの、守りたいもの…のかけがえのなさに、あらためて気づかされる。
春の朝に。
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